第2078回例会

第2078回例会 (2016年12月5日)


「スリランカ訪問と札幌北ロータリークラブ子ども基金のプロジェクト検証報告」
ロータリー財団委員会 中園直樹 委員長

 今回の訪問は、主に3つの目的があった。
(1)札幌北RCとコロンボRCとのMOU(了解覚書)交換。
(2)札幌北RCが7月にコロンボRCを通じて寄贈した眼科スリットランプ活用状況の視察。
(3)小林博会員が長きに亘ってスリランカ南部州で行なってきた「こども基金」の「インセンティブファンド」を使用しての学校の勉学環境改善や健康増進等の教育効果促進プロジェクトが行われた(進行中のもある)6つの学校(S1−S6)の視察である。

 時系列的に報告します。
 昼食後の例会で、申し訳ありませんが、学校のトイレの写真が沢山出てきますが、ご辛抱お許し下さい。ロータリーの奉仕の重点分野の一つに、“水と衛生(即ちトイレ)設備を整え、生存の為の水と生活の為の水を確保し、水汚染と消化器伝染病を水資源の管理とトイレの整備を通して防ぐ”ことを強調している意義を、途上国のトイレの現状を知ることで、その必要性と意義を改めて認識して頂ければ幸いだからです。我慢して下さい。

 まず、スリランカとは、民主社会主義の国家で、教育と保健医療は公立で無料です。元々のスリランカの在住のシンハラ人70%仏教徒と紅茶のプランテーションの労働力としてイギリスがインドから連れて来たタミール人20%ヒンドウ教の2民族が混在し、これが内戦の原因でもありました。この内戦が貧困を深めました。多くは南方小乗仏教の敬虔な仏教国で、厳格な修行が最も大事で、死後の世界観から角膜移植も寛容です。国民の1/4は貧困層で、我々が支援している学校は南部州の貧しい地区です。経済はモノプランテーションの紅茶、カシューナツ、シナモンが主な輸出品で、GDPでは1人1日10$、購買力平価換算で1人1日18$1,800円の生活です。内戦後の復興に、中国、インド、日本の夫々の思惑があり、中国の影響が最も大です。しかし他の南インド諸国の中でも教育と保健の指標が良いのでHDIは高い方です。

◆Sl12017年2月の札幌冬季アジア大会にスリランカ選手5名が参加するので、竹原会員とスリランカオリンピック委員会の役員との面談が病院や学校の視察に先立ちホテルで行われた。札幌北RCと竹原会員が選手役員のユニフォーム代の一部を援助したお礼として、オリンピック委員会から感謝の盾を頂戴した。

◆Sl 2 (1)MOUでは来年度からは小林博会員より更に500万ルピー増額され計800万ルピー基金が札幌北ロータリースリランカ子ども基金となる。その毎年の利子を原資にコロンボRCとの協働で、スリランカの主に教育、保健に関するプロジェクトを行なう覚書の締結と交換をコロンボクラブにてした。双方RCが合意の下、円滑に行われました。
しかし主導はあくまでも札幌北RC側で、現地でのプロジェクトの実施や監督はコロンボRCの協力を得て、双方が一緒に行うというものです。因みにダヤシリ氏の息子のKumudu氏が栗原会長年度のコロンボRCの会長ですので、いい関係が構築できると思われます。札幌北RC会員の素晴らしいアイディア、企画をドシドシご提案下さい。

◆Sl 3(2)スリットランプが寄贈されたHomagama病院はコロンボ郊外の400床以上の地域中核の総合病院で、眼科医は3名で毎日150〜200名の眼科外来患者が訪れるとのこと。緑内障、白内障や前眼部感染症などの患者が多い。眼圧測定器は病院側で追加購入してスリットランプに設置して検査や診断にフルに活用していた。視力低下の患者の診察の現場にも立ち会った。眼科医や病院長より、撮影用のカメラやレーザー機器などの支援を強請(ねだ)られたが、聞き流した。

◆Sl4(3)これから6校の訪問の様子を訪問順にご覧いただきます。S1−S4は小林先生がJICAスリランカのアドバイスを受け南部州からS1からS4の4校を選び2006年より支援を開始した学校です。これら6校があるスリランカの南部州は最貧ではないが、比較的に貧困な農村地区である。これまでは、主に学校の勉学環境の整備から始め、児童や生徒を通じてのニュースレターの発行やヘルスキャンプなどを定期的に開催するなどして、こども達や地域住民の保健の向上に努めてきた(詳細は「学校から始めた生活習慣病の予防—スリランカ10年」2009年5月刊行に報告されているので、ご参照下さい)。小林会員のインセンティブファンドとは、生徒たちと学校側、父母などが必要性を出し合い、よく話し合い、紐付きなしでそれに自由に使いなさい、とするものです。

 今回は前年栗原会員と訪問したS5、S6を含めたS1〜S6の6校を訪問した。
 小林会員の学校保健を通じての生活習慣病の取り組みに現地スタッフとして長年参加し、そのプロジェクトを実施することで多くの訓練、教育を受け多くの学びを得たジネンドラ氏とチャトランガ氏の両氏が、シンハラ語の通訳兼プログラムコーディネーターとして同行した。この2名は現地スタッフとして6校を定期的に訪問し指導監督(現地カウンターパート)します。この2名がシンハラ語で2017年より札幌北スリランカ子ども基金のインセンティブファンドを使っての勉学環境の改善や学校保健、地域保健の向上に改めて挑戦して欲しい旨を学校長や教員および児童生徒の代表達に説明し、コロンボRCのダヤシリ氏が日本語、英語で我々に補足してくれました。ダヤシリ氏には滞在中終始同行して頂いた。感謝です。

 

 トイレの写真やその他の学校の設備などをご覧いただきましたが、皆様どのように感じられましたか?どこに問題があるとお思いでしょうか?どの様に改善して行ったらいいとお考えでしょうか?
 2017年からのインセンティブファンドを使っての取り組みの経過報告や成果の報告、会計報告などはジネンドラ氏ら2氏の責務であり、学校側も協力する旨の了解も得た。
 ジネンドラ氏らはBaseline SurveyをS2、S4に於いて、2017年1月に行う予定である。再度の介入による効果判定指標などを当事者のカンターパートのジネンドラ氏らとコロンボRC、札幌北RCの2RCで合議の上、決定したいと思う。
皆さんのお知恵をお借りしたいと思います。

 今回の訪問はプロジェクトの経緯説明と2017年からの介入計画の徹底を主眼としたが、これまで小林会員が主導したプロジェクトの不断の継続により、3年、5年後の周期的検証で学校環境改善と学校保健教育の成果を期待したい。