第2321回例会
第2321回例会(2024年3月4日)
地区財団補助金委員会 / ロータリーカード推進委員会
大川 武志 委員長
これをロータリー財団にあてはめますと、ロータリー財団の使命は「ロータリー会員が人々の健康状態を改善し、質の高い教育を提供し、環境保護に取り組み、貧困をなくすことを通じて、世界理解、親善、平和を達成できるようにすること」です。これが特定の目的です。ということは、この目的以外に財産は使用できないということになります。
ここでロータリー財団の歴史を少し見ていきたいと思います。1917年「世界でよいことをする」ためにアーチクランフ会長が設立しました。最初の寄付は26ドル50セント。150円計算で3,975円でした。
次にロータリー財団とは?ということですが、管理委員会によって管理されており、本部はイリノイ州エバンストン(これは国際ロータリーと同じです)にあります。世界の協力財団は日本・韓国・オーストラリア・ドイツ・インド・英国にあります。
ロータリー財団は、チャリティーナビゲーターというアメリカの最大の慈善評価機関から最高評価の4つ星をいただいております。これは、財務体質や説明責任・透明性を評価いただいているようです。
そんなロータリー財団の活動をどの様に各クラブが運営するのかをお手伝いしているのが、地区委員会です。おおまかに当地区の役割を掲載しました。
次に当地区が行っている活動をご紹介させていただきます。まずは、地区補助金です。今年度は39クラブ38プロジェクト、1ローターアクトクラブ、5委員会で合計12,976,230円の申請がありました。札幌北クラブさんでは、ハンディキャップを抱える子供をエスコンフィールドの球場見学ツアーに招待するプロジェクトを申請いただきました。また、この地区補助金を利用して国際奉仕委員会が中心となり実施しておりますタイ東北部における水と衛生プロジェクトなどが行われております。
次は、グローバル補助金です。環境のグローバル補助金事業も構築中です。『母なる川』 という意味のメコン川を守っていこうという共通の目的のもと、リサイクルの仕組みを現地に根付かせ、次世代につないでいく事業です。ごみの分別のシステム導入と環境教育の2本立ての展開で、タイ東北を拠点に、環境教育では、タイ、ラオス、カンボジア、マレーシア、そして日本で、若い世代が中心となり国を超えて取り組みます。ローターアクト等、未来を担う多くの若い世代のインスピレーションやアイディアを借りながら、共に実施していく予定です。そして昨年の11月、当地区のローターアクターがタイ東北部のローターアクターと交流をして未来に向けての準備を少しずつ始めました。
次に災害救援補助金ですが、ロシアによるウクライナ侵攻によりウクライナ災害救援基金が設立され1,500万ドル以上の寄付が集まり400件以上のプロジェクトに活用されました。当地区でも隣の第2500地区(北海道東部地区)と共同して消防車購入資金を送金させていただきました。
次に地区補助金を利用して留学している奨学生をご紹介させていただきます。今年度、アメリカコロンビア大学へMBA取得へ向け1名、アメリカのマサチューセッツ工科大学院へ都市計画を研究する為に1名の合計2名が出発しました。また、合計5名が留学を継続中です。このように地区奨学生も親善大使の役割も努めながら、専門分野の学びに力を入れております。将来はロータリーファミリーの一員としての活躍を願っています。
次にグローバル補助金の活用事例についてお話しします。当地区では現在、2名のグローバル奨学生を輩出しております。アメリカ エール大学「水と衛生」のグローバル奨学生に1名、今年度新たに、イギリスロンドン大学衛生熱帯医学院「疾病予防と治療」の奨学生1名を輩出しております。今年度無事修了した奨学生は、「国境なき医師団」「セーブ ザ チルドレン」で活躍し、アフリカやウクライナ周辺諸国で国際問題の解決に尽力しています。
次にポリオプラスですが、当地区では、昨年の10月24日に札幌テレビ塔を赤くライトアップするイベントを開催し、募金活動を実施しました。また、ポリオチャリティーコンサートやロータリーカードの推進もしております。
今までクラブや地区で行ってきたことをご紹介してきましたが、世界でよいことをする為に、私たちが具体的にどの様なことができるか考えていきましょう。
まずは、クラブや地区の事業に参加する。これは、各クラブの地区補助金事業やポリオチャリティーコンサート、またタイの「TAKE ACTION TOUR」に参加してみる。このように自分自身で補助金がどのように使われているのかを体感することはとても重要だと考えております。
次に、寄付です。ロータリー財団といえば寄付と思っている方も多いと思いますが、私たちは奉仕団体であるロータリークラブに所属しております。地元で地域で世界でよいことをする為にすべて自分ひとりでやり遂げることは難しいと思います。それであれば寄付という行為で世界でよいことをすることも一つだと私は考えております。ただこの寄付がどの様に使われているかわからないとなかなか寄付もできないですよね。具体的な金額を用いてお話させていただきます。
先ずは、100,000円寄付をした場合、5,000円の管理費が引かれ、残りを2つに分けます。この左側の47,500円は世界でよいことをする為の資金(グローバル補助金)、右側の47,500円はさらに半分にして一番右側の23,750円が地元でよいことをする為の資金(地区補助金)、左側の23,750円が地域でよいことをする為の資金(ポリオプラス基金に寄贈、グローバル補助金など)に使用されます。このように見ますと寄付の大半がいろいろなところでよいことをする為の財源になっています。また、この寄付金は、ここ数年で流行っているふるさと納税と同じように、所得控除の対象となります。
世界でよいことをする為にできることの最後になりますが、体も使わずにできることがあります。それはロータリーカードを作って利用することです。なぜロータリーカードを使うことが世界でよいことをする為になるのでしょうか?それは、ロータリークラブのポリオ根絶の理念に各カード会社さんが賛同し、私達が本来得られるポイントからではなく、各カード会社さんがこのポリオ根絶の為の資金を負担してくれています。ちなみに、2021-22年の利用額が20億7,451万円でポリオ根絶活動資金は1,021万円でした。これで約160,000人分のポリオワクチンが購入できます。ということはいかがでしょうか?ロータリーカードを作って普段の買い物をするとポリオ根絶に寄与できます。
今まで世界でよいことをする為にできることを3つお話してきましたが、何でも結構です。まずは、「勇気を出して行動しよう」ではないでしょうか!これは、次年度出村ガバナーからのメッセージです。まずは1歩踏み出しましょう。
「今年度の振り返りと来年度以降の展望」
財団学友 覚知 頌春 様
本日は、私の2023年度の振り返りと、2024年度以降の展望をお話ししたいと思います。本題に入る前に、私のこれまでの経歴について簡単にご紹介します。私は、2018年から2020年にかけて、ロータリー財団地区奨学金奨学生としてドイツのキール大学で2年間の留学を行いました。私の専門は言語学と低地ドイツ語学で、キールでは低地ドイツ語の現地調査などを行いました。留学の成果をもとに、帰国後の2023年3月には、北海道大学大学院文学研究科の博士後期課程を修了し、博士の学位を取得することができました。
2023年度は、北海道大学大学院文学研究院の専門研究員として、低地ドイツ語についての研究を進めています。今年度は、2件の学会発表を行うことができました。また、2023年度は、夏から約半年間、ドイツに拠点を移して生活していました。ドイツでは、先の留学時代にお世話になった先生、同僚、話者の方々に再会し、学位を取得した旨などを報告することができました。
2024年度は、日本学術振興会の海外特別研究員として、再びドイツに渡る予定です。海外特別研究員とは、博士号を取得した若手研究者に対し、海外で長期間研究に専念できるよう、生活費と渡航費を支援する奨学金制度です。海外特別研究員の採用人数は毎年約130名で、人文学の分野では例年8~10名の研究者が採用されています。任期は2年で、私はドイツのキール大学を再び受け入れ先に選びました。キールでは再び、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州の低地ドイツ語を調査・研究するつもりです。
また、同州で話される少数言語である北フリジア語についての知識も深め、低地ドイツ語の研究に何らかの形で取り入れるつもりです。帰国後は、日本もしくはドイツにおいて大学教員・研究者として働ければと思います。日本で就職が決まった際には、現地で見聞した経験をもとに、ドイツの言語事情を分かりやすく、そして面白く、学生に伝えることができる教員になりたいと思っています。