第2318回例会
第2318回例会(2024年1月29日)
クラブ情報委員会ロータリー情報担当
中園 直樹 副委員長
P.F.Drucker先生の語録からロータリーを考えてみようと思います。
彼は経営学の父と呼ばれるが、寧ろ社会心理学者と言うべきで、「企業にとって最も重要な資産は知識労働者」と強調しており、従業員意識調査に基づいた品質管理(QC)サークルの提案者でもあります。
ロータリークラブを経営体と見做して、考えてみて下さい。
*「労働力はコストではなく資源である」→「ロータリークラブは寄付の集団でなく、人材の資源集団である」
…企業が従業員の意欲(モチベーション)を高めるような関係を築く人事マネジメントの重要性を指摘し、労働力を経営資源としてとらえるよう説いた。
*「事業の目的とは顧客をつくり出すこと」→「ロータリークラブの存在理由は外からの視点に応えることである」
…「事業の目的は利益を生み出すこと」という考え方を否定。常に顧客という「外からの視点」によって事業のあるべき姿を考える必要があると指摘した。
*「効率的な企業は、問題中心主義でなく、むしろ機会中心主義である」→「効率的なロータリークラブは寄付中心主義でなく、むしろ活動中心主義である」
…問題を解決するためにはどうすれば良いのかを考えきるよりも、「どんな機会やチャンスがあるのか」を問うべきであるとした。
*「知識こそが本当の資本である」→「経験と知恵に裏づけされた活動こそ本当の資産である」
…機械や土地などの旧来の生産手段(資本)による生産よりも、人間の知識による生産の重要性が高まっていることを示した。
*「米国こそ史上初の社会主義国家だ」→「ロータリークラブの活動こそ史上初のキリスト教的社会民主主義だ」
…米国の企業年金基金が上場企業の大株主になることを「労働者による生産手段の所有」ととらえて「年金基金社会主義」と呼んだ。年金基金が企業統治の主役になる事態をいち早く予言した。
*「イノベーションの欠如こそ既存の組織が凋落する原因であり、マネジメントの欠如こそ新事業に失敗する原因である」→「イノベーションとマネジメントの欠如はロータリークラブの衰退を招く」
…マネジメントとイノベーションの重要性を的確に表現した。
ドラッカー先生は、「政治は人間と経済とを「公共善」に向かって総合する。経営学は本来政治に近い」と、ポスト資本主義社会を予言していました。
また、「組織は社会的な貢献がその存在意義で、企業であっても利潤動機でなく、企業の倫理性、価値観の重要性を一貫して指摘」していました。
「組織の価値観と個人の価値観が一致した時に、人は働く喜び、生きる喜びを覚える」とも指摘していました。
以上幾つのドラッカー先生の語録をみても、先生の指摘や予言はロータリーやロータリー活動にも大変参考になり、蓋し名言だと思います。
▼ロータリーに振り返ってみれば・・・・・・・
ロータリークラブはクラブの存在そのものに意義があるのではなく、クラブ会員の倫理性とメンバーの価値観「超我の奉仕、最も奉仕する者、最も多く報いられる」の標語の下、人道的な奉仕を行い、あらゆる職業において高度の道徳的水準を守ることを奨励し、かつ世界における親善と平和の確立に寄与することを目指した仲間(理念を共有する同志的結合)が共に行動することである、と考え、そこにロータリー活動の存在理由があると私は思います。活動こそが存在の証しなのです。