第2331回例会

第2331回例会(2024年6月17日)

「洋上風力発電設置に関わる調査の実際」
基礎地盤コンサルタンツ株式会社
前北海道支社長 知本 康男 様

洋上風力開発は2050 年のカーボンニュートラル(C N) 達成に向けての切り札!との報道を目にする
機会が多いと思います。また,北海道と札幌市が「GX 特区Jに選定され,再生可能エネルギーの潜在力がトップクラスである当地では,グリーン水素の需要拡大にリンクした洋上風力発電を柱としたビジネス展開が模索されます。現在,北海道には再エネ海域利用法による「有望区域Jが五つのサイトで指定されており,このうち二つの区域では法定協議会が開催され,その機運は急速に高まってきています。
石狩湾新港周辺の陸域では陸上風車が既に林立しており,北防波堤沖の海域エリアでは風車14 基のウィンドファームが昨年に竣工しました。この「石狩湾新港洋上風力発電所」の初弾となる地盤調査は2016 年に始まり,その後7 年間の調査~設計~施工期間を経て2024年1月1日から商業運転を開始しています。
この石狩サイトをはじめ国内洋上風力開発の幾つかのプロジェクトに携わった経験を踏まえ,本日の『卓話』では洋上風力発電事業における地盤調査について紹介させて頂きます。
まず初めに“洋上風力発電事業の動向”として,国のエネルギー政策や法令整備に関する概況を紹介します。つぎに実際の“海底地盤調査の手法”や求められる地盤情報について言及します。ここでは今後は主体的な調査メソッドに位置づけられるCPT (コーンペネトレーションテスト)調査について解説します。最後に“まとめ”として海底地盤調査の課題と展望(方針)について論述します。できるだけ専門用語を使用せずにお話しさせて頂きますので,気弩に聴講して頂ければ幸甚でございます。
国策として推進される再生可能エネルギー拡充施策のうち,洋上風力発電事業は最も伸び代が期待
される分野と考えられ,北海道にとっても地域活性化に寄与するビジネスとして定着する可能性を秘めています。また, GX の先鋒役としての期待感も高まっており,産官学による連携をよリ一層深め,国民というステークホルダを第一に据えた方針で諸施策が深化・進行していくことを切望します。私自身も微力ながら, これら発展の一助になるような活動に専念していく所存でございます。皆さまも是非このような視点で洋上風力事業を見守って頂けますよう宜しくお願い致します。