第3回クラブフォーラム

第2288回例会(2023年4月3日)

「スリランカ子ども基金 2023訪問報告」
栗原 清昭 会員

 
 2023年2月20日~2月28日の日程でスリランカを訪問いたしました。参加者は竹原会員、中園会員ご夫妻、藤城会員、赤木会員、栗原会員の6名です。
 札幌北RC「スリランカ子ども基金」事業は、新型コロナウイルス感染拡大によって対象となる学校が閉鎖されるなどの理由から、過去4年間に亘って休止を余儀なくされておりました。
 今回の訪問目的は「スリランカ子ども基金事業の再開が可能か確認すること」と、「4年間で生じた利息(約400万ルピー)の有効活用を図る」ことです。

1.スリランカ子ども基金とは
 1998年以来、小林博会員(国際ロータリー第2510地区パストガバナー)はスリランカにおける保健医療の向上と学校環境の改善に取り組んでこられました。
 2014年、小林会員は総額800万スリランカルピー(約570万円)を当クラブに寄付され、これを基にスリランカ子ども基金は設立されました。
 この基金を姉妹クラブであるコロンボRCに預託し、当地で毎年生み出される利息を活用して学校環境の改善に役立てることといたしました。これまでスリランカ南部の7校に対し子どもたちの健康増進や教育効果促進を目的として、1校あたり年間5万ルピーの「インセンティブファンド」を贈呈しております。
 「インセンティブファンド」は、健康増進や教育効果促進という目標の範囲内であればその使途は問わず、それぞれの学校の子ども達の自主判断に任せます。その効果として子ども達に自主自立の気持ちが芽生え、同時にそのように成長する子ども達の姿を見て親が心を動かし、やがて地域全体が変わっていくことを期待するものです。
 
2.スリランカの現状 
 新型コロナ感染拡大の影響により観光などで得られる外貨を獲得することができず、事実上デフォルトとなりました。経済破綻によってスリランカルピーは4年前に比較して約4割下落しており、エネルギーや物資を輸入することが困難な状況にあります。

3.学校訪問2023
 コロンボから30~40km圏内の公立学校10校を訪問し、トイレを主体とする衛生施設の整備を目的として実態調査をおこないました。また、学校職員のみならず男女別に生徒への聞き取り調査も実施いたしました。

4.学校訪問で知りえた現状
 どの学校にも共通する問題もあれば、先生や地域住民が積極的に衛生環境の改善に取り組んでいる事例もありました。以下、学校訪問で知りえた現状です。

どの学校も行政からの予算が不足しており生徒数に対してトイレが足りない
スリランカルピーの下落による資材高から衛生設備の建設費増大
帰宅までトイレを我慢する子どもがいる
使用不能のトイレがあるが、修繕がなされていない
手洗い場の無い学校もあり衛生上問題
校長はじめ、教員がお金を出し合って衛生設備の維持管理をおこなっている学校もある
施設や設備の維持保全には保護者や地域の協力得ることが重要、校長の資質による影響大

5.コロンボRCとの話し合い
 学校訪問後、コロンボRCと事業に関する話し合いを行いました。この席で先方から、グローバル補助金を活用した学校における「水と衛生プロジェクト(WASHプロジェクト)」の提案がなされました。
 グローバル補助金の最低予算は3万ドル以上ですが、札幌北RCスリランカ子ども基金から400万ルピー(現在約12,000ドル)、スリランカ、モルジブ3220地区DDFより10,000ドルを拠出することによりDDFの80%をWFから得ることになります。3220地区からのDDFは当日同席いただいたプブドウRID3220地区ガバナーからの提案でもあります。
 この提案を私たちは札幌に持ち帰ることとし、札幌北RCとしての事業試案を組み立てることといたしました。
 帰国後、RID2510地区から10,000ドルのDDFも予算立てが可能な状況であるとの情報を得ました。グローバル補助金申請書を早急にまとめる必要があります。

6.グローバル補助金事業札幌北RC試案

<プロジェクトの使命>
生徒も教職員も、健康長寿のための衛生の重要性と必要性を実際に認識する。スリランカの「アユボワン」

<プロジェクトの目標とタイトル>
清潔な衛生施設「トイレと水」プロジェクト

<ヴィジョン>
1:生徒は、何の困難もためらいもなくトイレを利用できる
2:生徒は、トイレをいつでも清潔に保つことができる
3:生徒は、トイレを使用した後、自分の陰部と手を洗うことができる
4:生徒は、水と衛生設備がすべての人の健康的な生活にとって重要な要素であることを認識することができるようになる
5:生徒は、トイレと水の両方を清潔に維持し、維持するためにコミュニティを励まし、行動することができる

 
報告後、グループディスカッションが行われました。