第1回クラブフォーラム

第2266回例会(2022年8月22日)

「人生の最終段階を支える医療」
一般社団法人日本慢性期医療協会・顧問
医療法人渓仁会定山渓病院・名誉院長 中川翼 氏 卓話

 
1) 慢性期医療機関では「人生の最終段階を支える医療」は、大切な役割
現在全国で、年間約140万人が亡くなっている。死亡された方の約80%は 病院で亡くなっている。特に高齢者は慢性期医療機関で最期を迎える方が多い。 病院は患者を治療して自宅、施設にお戻しするのが目的であるが、治療の功なく、 或は、急性期病院で積極的な治療の適応がなく、緩和医療を求めて入院される方 もいる。つまり、慢性期医療機関は、「人生の最終段階を支える医療」も大切な役割の一つである。

2)ではどうすれば良いのであろうか
ではどうすれば良いのであろうか。私が、全国有数の民間急性期医療機関である、手稲渓仁会病院から、同系列の慢性期医療機関である、定山渓病院に異動した。その後、いろいろ勉強もし、また、研修で学んだ。その結果、至った結論は、 次の2点である。

3)最初の1点は「本人(家族)の意思を最大限尊重すること」
人生の最期に、自分の意思が通らないことは、とても悲しいことである。それ には、患者(家族)と医療側が、双方向性の医療を行うことである。お互いに理解、納得して医療を行い、受けることである。医療側も選択枝を十分に提示することである。この考えの一助とするために、2004年から、当院では「終末期意思確認用紙」を使用している。

4)もう1点は、「関係している職員が、共通認識を持つこと」
その患者に関係している全ての職種(医師、看護職、介護職、リハビリテーション療法士、医療ソーシャルワーカー、栄養士等)が同じ考えでその患者(家族) に対応することである。当院では1999年からはじめたターミナルケアカンファランス、死亡後カンファランスは、そのための大切な機会になっている。

5)今後の流れ
①人生の最期になった時の希望を、家族と話し合っておくことが強く求められる。
②今後は、訪問系のサービスが伸び、自宅、施設等での「人生の最期」が増加すると考えられる。
③「人生の最終段階を支える医療」は「ケア」に変化し、看護職、介護職、リハ療法士等の役割が、より一層大きくなると推定される。