第2232回例会
第2232回例会(2021年9月6日)
米山記念奨学生 卓話
吴 姣涵さん
皆様、こんにちは。米山奨学生のウと申します。
あっという間に季節を変えて、秋になりました。ロータリー米山奨学金の面接を受けたことは昨日のことのようでしたが、最初の例会に参加させていただいた時も、「半年間が短い間ですが」と言いながら、一瞬で終わって本当に短すぎると思っています。
2019年10月から日本にやってきて、充実な留学生活を送りたいと期待しましたが、まさかのコロナが全世界に広まってしまい、今でもなかなか落ち着いていなく、世の中が大変な時期になっています。この2年間で外出もほとんどできてなく、授業もZOOMの形で受けました。でも良かったのは学業に集中できることです。留学の理由で日本に来たので、最も大事なことが無事に完成できるのは一番の収穫です。そして、研究に専念できるのはやっぱりロータリアンの皆様のおかげです!奨学金をいただき、たくさんの本を買えましたし、生活の面も困らず、修士論文の執筆ができました。また学校の指導先生方々の大変丁寧なご指導のおかげで学業が修了できました。
せっかくの機会なので、修士論文について報告させていただきます。
本論のテーマは「日本社会における移民受け入れの影響」となり、研究の目的としては、なぜこのテーマを決めたかというと、グローバル化の発展にしたがって、移民は世界的な問題になっており、ほとんどの先進国はその問題を解決するために取り組んでいます。今日の日本では、本格的な人口減少社会が到来したため、将来の高齢化による労働力不足への対応とグローバル化に従って日本の活力をいかに維持するのかという視点から移民受け入れについてよく議論されています。
これまでの移民の受け入れに関する議論は、移民がもたらす社会的影響を非常に否定的に捉えている。
他方、経済的影響から 移民の肯定的な面が 論じられるようになってきつつあります。しかし、それらの両面を結びつけるような研究が少ないため、そこで本論では、今後ますます増加することが 考えられる移民を日本が受け入れたときに、日本の社会がどのように変化するか、どのような影響をもたらすのか、そして移民を受け入れると日本社会の少子高齢化による人口減少、特に労働力不足問題を解決できるかどうかについて明らかにしたいという研究目的でした。
結論に達するためにまずは移民受け入れをめぐる議論の前提として、「移民の定義」と「移住ルート」を明確にしました。その上で、第二章では日本における移民受け入れの歴史を確認し、日本が 1639年から1990年までの 「鎖国期間」「移民送り出し国」「移民受け入れ国」という三つの段階がいかに構築されたかについての歴史的変遷の分析を行いました。
第三章では、データに基づいて世界移民の状況と日本における移民受け入れの現状を取り上げました。
分析した結果、今の日本では、アメリカ・イギリスをはじめとする先進諸国と比べて、移民の影響力がそれほど大きくないと言えます。
少子高齢化によって引き起こされる労働力不足の問題を解決するために外国人労働者が求められるようになった日本は、第三章でみたように「高度人材ポイント制度」、「特定技能資格」などの 移民受け入れ制度の多くは移民を労働力として受け入れる目的で作られて導入が始まりました。とはいえ、日本政府は「移民の導入ではありません」と主張し、移民と共に生活していける社会づくりを目指すための政策を打ち出しているとは言い難い。
ただし、今後、状況は変化する可能性が高いとも考えられています。政府が外国人労働者を母国に帰る一時滞在者として扱うと主張し続ける限り、受け入れ側の日本社会は大きく影響を受ける という現実もあり、そこで、第四章及び第五章では経済的影響と社会的影響をそれぞれ探ってきました。第四章では、経済的な影響については日本における労働力不足を補充でき、ある程度生産力を維持することが可能になると考えられます。それだけではなく、移民が貿易や投資の拡大を通じて、経済成長を促す可能性があり、国内貯蓄に代わる投資資金を海外から誘致し、国内経済を持続的に成長させることも期待できる。
国民の雇用環境を悪化させ、就業機会を脅かし、賃金を低下させると消極的見解も挙げられるが、日本の外国人労働力の現状と推移をみると、外国人労働者の多くが製造業に集中していることから、現状では多くの日本人労働者と代替的関係・競合的関係になく、補完的関係となります。加えて、海外から流入してきた労働力はこれまでのところ日本人労働者の賃金低下を招いてはおらず、逆に働き手が足りない産業の労働力を埋め合わせていると言えます。
要するに経済的な影響を全般的にみると、移民を
受け入れれば労働力不足の緩和と経済発展に好影
響が期待できると結論づけました。
第五条では、外国人を受け入れる側である日本人が外国人の増加に対してどのような意識を抱いているのか、また、日本人が不安という否定的な態度がどういう点から生じているのか、この二つの疑問を生じ、そこで問いを解消するために、NHKが2020年3月に実施した全国電話世論調査データを分析しました。現状では日本において、外国人による犯罪が増えているという確固たる証拠はなく、外国人は罪を犯しやすい、移民を受け入れると犯罪が増加すると言うことはできません。確かに欧米諸国には移民を大量に受け入れた結果、治安の悪化を招いたが、それは移民国家と適度に外国人労働者を受け入れる国とでは決定的な違いがあり、さらに言えば欧米諸国は人種・宗教・格差に従って治安の悪化が引き起こされる傾向があると言えます。一方、第三章にみたように、日本にやってきた外国人は圧倒的にアジア人が多いため、文化・人種・宗教の差異はそれほど著しくないと考えられます。ゆえに欧米諸国の研究結果が日本に必ずしも当てはまるとは言い難いのです。ただし、今後移民を受け入れる場合に、以上の不安や懸念を解決する必要があります。国家の政策として、外国人労働者移民の受入れを増やすのであれば、外国人が日本社会に溶け込めるようにするための政策例えば移民の日本語能力を「日常会話レベル以上」の基準に定める、日本語教育・日本文化による受け入れ環境の整備、日本人の意識の醸成などを取り込む必要があると考えています。そのため人々の意識を変化させるには教育は極めて重要な役割を果たすこととなるでしょう。
本論の結論をまとめていうと、移民の受け入れによって、現在、日本で進行している少子高齢化による労働力不足の問題をある程度緩和することができると同時に、経済・社会的方面からの否定的な影響が全くないとはいえないが、それほどマイナスの影響をもたらすとも言い難い。ゆえに、日本の移民受け入れに関し、肯定的な期待を持つことができます。
先程の話に戻ります。私にとって何より最もありがたいことというと、例会に参加させていただいてこうして皆様と会える、交流できることです。数回しか行っていなかったですが、行くたびに、いつも皆様の元気な笑顔と一所懸命で地域のために、社会のために、地球のために、人々の生活のために頑張っている姿をみて、本当に感動しました。そして、先程言ったように、外出も学校もほとんど行っていなかったので、友達も出来なかった。自分も流石にかわいそうやなあと思うくらい寂しい毎日でした。でも、米山奨学生になって、皆様と交流ができて、たくさんのエネルギーをいただきました。そして、この場を借りて、いつも私を心配し、関わってくださったさとこさんに深く感謝の気持ちを申しあげます。
一昨日も花火大会に連れてくださって、藤城会長の会社でとても素敵な花火を見ました。ここで藤城会長にも感謝したいです。今年は花火大会を見えるとは全く思わなかったです。夏の終わり のところで花火と焼き肉が最高でした!さとこさんは自分が得意な領域で輝いている今の時代に不可欠な女性な姿を見て感動しました。私もこれから自分の得意な分野を見つけて、自分を磨き、さとこさんのように輝くことができる女性になりたいと思っています。
日本にいる時間はあと10日間しか残っていませんが、帰国しても、ロータリアンの皆様にお世話になったことを誇りに思って、この半年間で学んだ奉仕の精神を常に心に刻んで、ロータリアンの皆様のような立派な人になれるように中国と日本、それから世界の架け橋になれるように頑張っていきたいと思っております。
コロナが落ち着いたら、また日本でも、どこでも会える日までに楽しみしております!
ありがとうございました。
(原文のまま掲載)