第2091回例会
第2091回例会 (2017年4月3日)
「母子の健康月間に因んで」
ロータリー財団委員会 中園 直樹 委員長
母や子どもの健康を知る代表な指標の、妊産婦死亡率(出生10万対妊産婦死亡)や乳児死亡率(出産1,000対生後1歳未満死亡)、5歳未満児死亡率(出生1,000対5歳未満児死亡)が世界最低レベルの幸せな国・日本で過ごして、子どもや孫の誕生や成長を喜んでいると、国外、特に開発途上国の母と子どもの健康について実感もなく関心は低いと思われる。
世界の、特に開発途上国の母子保健の現状を、出生数を含め、近年2012~15年の世界のデータを示して、日本との対比で解説した。
日本も第二次大戦前や戦後の数年間は母子保健の指標では多産多死だったが、1950年代の高度経済成長の時代に国民皆保険制度の整備を経て、2000年代には世界トップの母子保健の進んだ国になり、世界の憧れの国になった。2000年以降は寧ろ急速な少子高齢社会に突入して、高齢社会問題に直面している。
しかし、世界、特に途上国(特に都市部)の現状は依然として多産多死が続いており、人口転換が進んでいない。途上国の都市部での人口の激増は、食糧、水、エネルギーの不均衡の問題は持続的開発に関わる環境問題へと展開する。国際ロータリーが「母子の健康」を重点項目に据える理由はここにある。
「母子の健康」の向上には、母と子の「教育」、「疾病の予防と治療」、「水と食糧・栄養」と密接に関連しており、「女性の自立等の経済や社会参加」などが必要であることを、途上国での母子保健、公衆衛生活動の経験を交え紹介した。
ロータリーの特別月間のテーマの順序が「教育」(9月)→「疾病予防」(12月)→「水とトイレ」(3月)の後に「母子の健康」(4月)になっているのは、これらの要因が母子の健康の為に取り組む基盤的な課題であり、「母子の健康」が次代の新しい生命の誕生に繋がる。そして次代の社会発展のために「青少年奉仕」月間(5月)があるとの順番(?)だろう、と私は勝手に解釈している。